日々、訪問看護

40代訪問看護師(非常勤)です。仕事のことを中心につらつらと書いています。

訪問看護ステーションを選ぶポイント~私の考え~

私は訪問看護の知識がほとんどないまま訪問看護師になりました。

そんな私が、訪問看護ステーションを選ぶときに重視したポイント、訪問看護師として働いている今、重視したほうが良いと考えるポイントについて改めてまとめてみます。

 

訪問看護ステーションは雰囲気だけで選んではいけない。しっかり情報収集して選ぼう。

 私はこれまで3か所の訪問看護ステーションで働いてきました。

一番初めのステーションでは「訪問看護とはどんなものか」を勉強させていただきました。

2番目のステーションは、残念ながら入職していくらもたたないうちに閉鎖になってしまいました。

3番目のステーションが現在もお世話になっているところです。 

 

 

 訪問看護ステーションへ入職する前に重視したポイント

 1番めのステーションを選んだときに重視したポイントは2つありました。

 

認定看護師がいること  

訪問看護師として働くにあたって、身近に良いモデルがいることは大切です。

訪問看護の認定看護師ならば、最新の情報を持っていてステーションとしての信頼度も高いだろうと考えました。

実際にはステーションの信頼度は総合的に判断されるので、認定看護師がいるだけで信頼度が高くなることはありません。

ただ、私自身の学びには大きな影響がありましたから、いないよりはいるステーションを選んだほうが良いと現時点でも思います。

 

どんな利用者さん受け入れているか

働いたことのあるステーションは3か所ですが、見学したステーションはもっとあります。

なかには

○人工呼吸器を使用する方

○在宅看取りを希望される方

○難病の方

などの依頼を受けていないステーションもありました。

要因としては人員不足、経験不足などがあります。

上記のような利用者さんは訪問頻度が高いですし、緊急訪問が必要になることもあります。

ある程度スタッフの人数が揃っていて、経験値がないと対応が難しいのです。

 

私は父ががんで亡くなっていたこともあり、訪問看護師になったら在宅看取りのサポートは絶対にしたいと考えていました。

難しい利用者さんも積極的に受け入れているステーションであることが絶対条件だったのです。

「どんな利用者さんがいるか」は、入職後にご自身が「どんな利用者さんを訪問するのか」でもあります。

事前に確認しておきましょう。

  

訪問看護師となった今、重視したいポイント 

えらそうにお話しましたが、私が重視したのは上記2つと、少しでもお給料の高いところ。

訪問看護がどんなものかよく分かっていなかったので…。

訪問看護師になってみて、こんなこともチェックしたほうが良いと思ったことをあげてみます。

 

人員に余裕がある、新人の教育体制が整っている 

訪問看護の一番高いハードルは、利用者さん宅を一人で訪問することではないでしょうか。(複数名で訪問する場合もあります)

もちろん、新人さんをはじめからひとりで訪問させることはありません。

先輩の訪問看護師と一緒に訪問する、同行訪問を経てひとりだちするのです。

 

この同行訪問ですが、何回もできない実情があります。

少し前のものですが、全国訪問看護協会の調査をみると*1訪問看護ステーションを黒字経営にするためには、 訪問看護師一人当たり1日4件以上の訪問が必要であることが分かります。

規模の大きなステーションならば他のスタッフの訪問件数でカバーできますが、ギリギリの人数で運営しているステーションではそうはいきません。

同行訪問の間、人件費は発生するのに訪問件数にはならないのですから、出来るだけ早くひとりだちして欲しいのです。

 

経験の少ない方は教育体制の整ったステーション、つまりある程度規模の大きなステーションを選ぶと良いのではないでしょうか。

 

私は経験年数20年ほどで訪問看護師になったのですが、それでもひとりで訪問したときにはやはり緊張しました。

この「ひとりで訪問する」壁を越えられずに辞めてしまう方も多いです。

 

訪問看護の面白さが分かる前に辞めてしまうなんてもったいない!

ぜひ、じっくり育ててくれるステーションを探してくださいね。

 

学べる環境があるか  

こちらの記事でも触れましたが、ステーションに通勤しているだけでは新しい情報は入ってきません。

 

houmon-nurse.hatenablog.com

 

また、自分だけが勉強してもステーション全体のレベルは上がりません。

定期的な勉強会やケースの振り返りを行っているか、外部研修への参加は可能か、研修で得た情報の共有を行っているかなどをぜひ質問してみてください。

  

訪問件数が安定している

訪問件数が安定しているということは、いつも一定数の利用者さんを受け入れているということです。

介護保険を使う利用者さんを受け入れる場合、そのほとんどがケアマネージャーさんからのご依頼です。

 

利用者さんに良いサービス(看護)を提供できると、ケアマネさんが覚えていてくれて、新たな利用者さんのご依頼につながります。

「あのステーションに任せれば大丈夫。」と、地域のケアマネさんに思ってもらえるステーションは訪問件数が安定しています。 

 

反対にクレームが多かったり、利用者さんの選り好みをしているようなステーションは利用者さんも増えません。

もちろん、ただ単に地域での知名度が上がらないまま赤字が続いてしまうステーションもあると思いますが…。

私が2番目にお世話になったステーションは、少数精鋭でとても良い看護をしており、長く働きたいと思えたのですが、なかなか利用者さんが増えないまま閉鎖に追い込まれました。

毎年たくさんのステーションが開設されますが、その実たくさんのステーションが閉鎖や休止を余儀なくされているのです。

経営状態の良くないステーションも存在します。

 

利用者数、訪問件数を把握することは、ご自身の身を守ることでもあると思います。

 

受けられる福利厚生は?

お恥ずかしい話ですが、若いころの私は福利厚生について深く考えたことがありませんでした。

働いて得られるものとして重要だったのは、給与の銀行振込額だけだったんですね。

家庭を持ってはじめて福利厚生の大切さに気づきました。

自分がどんな雇用形態で働いて、どんな福利厚生が受けられるのかは入職前にしっかり確認しておきたいですね。

私もさんざん悩んだり調べたりしたので、いつか記事に書けたらいいなと考えています。

 

入職前に訪問看護の基礎知識があればなお良し

私のように入職して働きながら覚えることもできますが、入職前に基礎知識があったほうが良いに決まっています。

私は介護保険制度の仕組みがまったく分かっていませんでしたし、地域包括ケアシステムという言葉も訪問看護師になって初めて知りました。

今思い返してみると、よく分からないまま発言をしていたなぁと情けない気持ちになります。

今はeラーニングを使って自宅で学ぶこともできますから、訪問看護に興味のある方は時間のあるときに学んでおくと良いと思います。

 

 

*1:全国訪問看護事業協会訪問看護ステーション経営概況緊急調査報告書,2008.